【短】春、二人だけの思い出を
「でも本当は周りのみんなと同じように授業を受けて、休み時間には友達とふざけあったり、一緒にお昼ご飯を食べて。そういう思い出を作りたかった。ずっと、したかった」
語尾が震えて、びっくりするくらい弱々しい響きだった。
外山くんのぎゅっと握られた拳も震えていた。
私はほぼ無意識にその上に自分の手を重ねていた。
「でも、そんな時、三井さんが僕に声をかけてくれた。本当に嬉しかったんだよ」
そしてちょっと照れくさそうにこちらをチラッと見てから。
「そして、一目惚れだった」
「えっ」
一目惚れ?
「あの時、引き止めたのもキスをしたのも、この人のことをもっと知りたいと思ったからだよ」