【短】春、二人だけの思い出を
重ねた私の手を取って、「小春」と呼びかける。
「好きだよ」
その言葉を言われた途端に私の頬をすっと涙が一筋伝った。
「私も。私も、外山くんのことが好き」
涙声で必死の思いを届ける。
外山くんは柔らかい笑みを浮かべて、私の次々にこぼれ落ちる涙を拭ってくれた。
「なんで泣いてるの?」
「わかんない」
自分でもなんで泣いてるのか分からない。
だけど、色々な感情が溢れだしちゃうんだよ。
高校3年間のほとんどを保健室で過ごしてきた外山くん。
文化祭も体育祭も修学旅行だって。
そういうことを私が当たり前に経験してきた一方で、彼はいつもここでひとりでいた。
その時の気持ちを考えると、胸が締めつけられる思いがした。