【短】春、二人だけの思い出を


あのね、私は外山くんに見せたいもの、話したいこと、一緒に経験したいことがたくさんあるの。



だから――



「確かに、外山くんはみんなと同じような高校生活は送れなかったかもしれない。だけど、その思い出を塗り替えちゃうくらい、これから私がたくさん外山くんの青春を作るから…」


言っててなんだか自分で恥ずかしくなってきた。


そんな私の様子にちょっと笑ってから、外山くんは「ありがとう」と何度も頭を撫でてくれた。

最初に頬に触れたときよりあたたかい手。



外山くんの目にも涙がキラリと光った。



それから、そっとキスをくれる。


それは今までのどれよりも甘くて、優しくて、ちょっと涙味で、そして、春の香りがした。





〜FIN〜

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