世界でいちばん 不本意な「好き」
それなのにふみとのファンのひとは、そう思っていない。一身に浴びて受け止めて惹かれてる。
いったい何者…?
ほかのアイドルとか、芸能人もそうなのかな。
それともふみとだけ?
「その、久野ふみとのファンって男の子とかも多いの?」
「ピカロは全体的に多いほうじゃないですかねえ。あとコンサートは高齢の人も外国人もよく来てます」
国民的、とはそういうことなのか。
ただくっついてるだけの文言ではないみたい。
「オレはファン歴短いんですけどね」
「そうなの?」
「はい。小5の時に付き合ってた彼女が好きだったんですよ。それで一緒に曲聴いたり映像見たりして気づいたらハマってて!」
いや、小5から彼女がいることのほうがびっくりだよ。
わたしより年上なふみとが聞いたらもっとびっくりするんだろうなあ。すげーって尊敬した顔で言うかも。というか、それってわりと長くファンじゃない?
「アリスさんも、史都のこと知ったら抜け出せなくなりますよ」
同性の、高1の、ふみとからすれば存在さえ知らないはずのひとに、そこまで言わしめる。
その魅力ってなんなんだろう。
「や、わたしは、だいじょうぶだよ」
そんな言葉を返しながら、何が大丈夫なのかと、棘で突かれているような感覚になった。