あの夜身ごもったら、赤ちゃんごと御曹司に溺愛されています
彼の言った言葉はおそらくさっきのカクテル言葉のことだと思う。
『失恋しない恋を見つけてくれるといいなという願い』
いやいや、さすがにそれはないでしょう。
それにこんなイケメン、彼女がいて当たり前じゃない。
「君のお酒すごく綺麗だね」
悠一さんに話しかけられた。
「これですか? ブルームーンっていう名前だそうです」
「ブルームーンね〜。じゃあさ、月のブルームーンって知ってる?」
「いえ、知りません」
「一月に満月が2度目の時をブルームーンっていうんだ」
「え? 満月って月に1度じゃないんですか?」
「大体そうだけど、数年に1度あるんだよ。だから珍しいんだ」
「お詳しいんですね」
悠一さんは首を横に振った。
「いや、前に偶然ブルームーンを見て、その時に知人が教えてくれただけ。ところで、良かったら一緒に飲みませんか?」
断る理由などないし、東京での最後の夜にこんなイケメンと一緒にお酒を飲めるなんて、神様からご褒美をもらえたような気分だ。
「はい」と返事をすると悠一さんは私の隣の席に移動した。
「そういえば、ここへはよく来るの?」
「はい、でも最近忙しくてなかなか来れなくて……前回は3ヶ月前かな?」
悠一さんはイケメンだけど、物腰がやわらかいというか、親しみを感じる人だった。
だから初めて会った気がしない、そんな雰囲気を持っていた。
「そういえばさっき彰が俺と君が同じようなこと言ってたって言ってたね」
「実は……」
私は会社を辞めた経緯を話した。
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