あの夜身ごもったら、赤ちゃんごと御曹司に溺愛されています
「本当に子供ってかわいいな」
こんな会話をする日が来るとは思ってもいなかった。
「でも今まで大変だったよね」
私は首を横に振った。
「楽しかったよ。柊一がいてくれたから私は頑張れた。それにあなたにも再会できた」
すると彼が私の手を握った。
「もう俺たちを邪魔するものは何もなくなった。翼、もう俺から離れないで欲しい。一生俺のそばにいて欲しい」
嬉しかった。でもそれを素直に受け入れられない自分がいた。
「気持ちはうれしいけど……」
「なんで?」
「あなたと私とではあまりにも住む世界が違いすぎるのよ」
すると彼が大きなため息をついた。
「まだそんなことを言ってるのか? だけどその心配はいらない」
悠一さんはご両親に私のことや柊一の存在を話していたのだ。
「加賀美のことは謝る。何も知らなかったとはいえ君につらい思いをさせた。でもそれも大丈夫だから……」
「本当に私でいいの? 子供のためなら——」
悠一さんが私を強く抱きしめた。
「何言ってるんだ。俺は君なしじゃ生きていけない。子供のため? もちろんそれもある。だけど俺はなによりも翼が欲しいんだよ。だから君がなんと言おうが絶対に離さない」
私たちは見つめ合うと、互いの気持ちを確かめるように唇を寄せた。
その途端、封印していた彼への思いが溢れ出した。
やっと自分の気持ちを言葉にできる嬉しさに胸が熱くなった。
「翼……」
キスの合間に囁かれる甘い囁きに胸がときめく。
会えなかった、触れられなかった時間を取り戻すよう、私たちは求め合った。
「愛してる」
「私も……愛してます」
満月に照らされる中、私たちは永遠の愛を誓った。
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