あの夜身ごもったら、赤ちゃんごと御曹司に溺愛されています
翌日、彼に会うため私は祖母に柊一の子守を頼んだ。
「ねえ、何かあったの?」
「え?」
祖母が柊一を抱っこしながら心配そうに私を見た。
「昨日も今日も……こう頻繁に外出なんて珍しいと思って」
「じいちゃんから聞いたかもしれないけど、私はあの蛍の森をどうしても手放したくないの。だから朝倉さんを説得したくて……」
間違ってはいない。だけど今日は私の願いと引き換えに彼の頼みがどんなものかを聞きに行くのだ。
「そうなんだね。翼がここにくる前から決まっていたこととはいえ、なんだか申し訳ない」
「ううん。昨日朝倉さんから二人がどんな思いで手放したのかは聞いてる。それを責めるつもりはないよ。ただ、これは私のわがままなの。私がここにいる理由の全てがあの森なの。2人には絶対に迷惑かけないから」
そうよ。よくよく考えたらこれは私のわがままだ。
だから2人には迷惑をかけない。いやかけてはいけない。
「柊一のお守りをさせてごめんね。ばあちゃん」
「それはいいよ。この子は手がかからないからね」
「なるべく早く帰ってくるね」
私は車に乗り込むとナビに住所を入力した。
というのも名刺の裏に書かれた住所はちょうど私たちの家の反対側にあるのだ。
あの辺は数件の別荘がある。
恐らく彼の家はその別荘のどれかだ。
気が重いけど、行くしかない。
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