隣の部屋の新人くん
ガツン。
突然坂口くんが真横からブランコをぶつけてきた。

坂口くんを乗せたブランコが斜めに揺れる。

そしてもう一回、ガツン。
私のブランコにぶつかる。

乗ってる坂口くんは笑ってる。

「じゃあ、寂しい時はうちでたこパですね」
「え?」

また後ろからガツンとぶつかる。

「ほら、寂しい同士」

坂口くんが私と自分を指す。

確かに、さっきのたこパは魔法のようだった。
キムチとマーブルチョコのたこ焼きが、佳弥のことをすっかり忘れさせてくれた。

「そうだね」

私はぐるぐるブランコのチェーンを巻きながら言った。

ぐるぐる回る私のブランコと、斜めに揺れる坂口くんのブランコがたまに衝突しそうになる。

「やめて、危ないから」

私は大人げなく斜めに揺れて対抗してみせる。
大人二人を乗せたブランコが何度もガツンガツンぶつかって、いつのまにか私は笑っていた。

二人の笑い声が響く、夜の公園。

今日も結局、佳弥からの返事は来なかった。
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