殺人感染
感染
それからどれくらい走っただろうか。


人の遺体の上を走っているから全然前に進んでいない感覚だった。


やがて足が重たく感じられはじめて、あたしはその場に座り込んでしまった。


「大丈夫か?」


「うん……」


でも、少し休憩しないと走れそうにない。


顔上げるとここはまだ学校近くの公園であることがわかった。


あんなに走ったのに、ほとんど進んでいないのだ。


「公園で水を飲もう」


純也に言われてあたしは大きくうなづいた。


思えば朝からまともな食事も、休息もとれていない。


こんな状態で足元の悪い場所を走れるわけがなかったのだ。


あたしたち2人は公園の水道で血を洗い流し、水を飲んだ。


想像以上に喉が渇いていたみたいで、一度飲み始めるとなかなかとめられなかった。


喉が潤うと一気に生き返った気分になる。


少しだけ気分が前向きになって大きく息を吐き出した。
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