殺人感染
目の前は完全に灰色のフィルターがかかった状態だ。


なにこれ、どなってるの?


あたしが純也の方へ視線を向ける。


でもこれは自分の意思じゃなかった。


まるでなにかに操られているような……。


「遥!?」


純也が勢いよくベンチから立ち上がる。


どうしたの純也。


なにをそんなに慌てているの?


あたしは自分の両手が勝手に動くのを見た。


あたしの両手は純也の首に絡みつく。


え……?


まるで、他人の映像を見ている感覚だった。


あたしは純也の首を絞め始めたのだ。


純也は真っ青になってあたしを見つめている。


なんで?


これ、どうなってるの?
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