殺人感染
やめようと思ってもやめられない。


自分の感情が行動として表に出ていかない。


純也は顔をしかめ、苦しみ始める。


やめて。


やめてよ!


どうして純也を傷つけようとするの!?


必死で両腕を制御しようとするが、はやり自分の意思ではどうにもできなかった。


あたしの腕はあたしのものじゃなくなっている。


純也が目を見開き、眉間にシワを寄せて泣きそうな顔になる。


その右手には包丁が握られていた。


嘘でしょ……。


あたしは息を飲む。


やめて純也。


あたしを殺さないで!


心の奥底で願うだけで、言葉にもならない。
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