殺人感染
「ねぇ、外へ出た生徒たちはどうなっちゃったのかな?」


「遥。今は自分のことだけ考えよう」


横から純也の手が伸びてきて、窓は強制的に閉められてしまった。


だけど目の前に広がっている現実は変わらない。


外でも何人、何十人の人が死んでいる。


そして感染拡大も続いているということ。


スマホで時間を確認してみると、いつの間にか夕方近くなっていた。


これだけ時間が経過しているということは、殺人鬼の数は……。


想像するのも恐ろしい。


次に殺されるのは自分じゃないか。


次にアザが出現するのは自分じゃないか。


そんな不安が急速に膨らんでいって、あたしは前を歩く純也の手を掴んだ。


「どうした?」


立ち止まり、振り向いて心配そうな顔を向けてくれる。


それはいつもの純也で少しだけ安心することができた。


どれだけ世界が変わっても、純也だけは変わっていない。


それだけで心が落ち着いていく。


「大丈夫だよ。早く行かなきゃね」


あたしは大きく息を吸い込み、また歩き出したのだった。
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