死なないあたしの恋物語
あたしの体はようやく椅子に戻された。


ホッと息を吐き出すと、手に汗をかいていることに気がついた。


「でも、あたしが行くとクラスがめちゃくちゃになっちゃいそうで怖くて」


「そんなことない! そうなったら、俺や真夏や綾がどうにかしてやるから!」


みんななら、きっとあたしの味方をしてくれると思う。


でも、本当にそれでいいのかな。


まだ心には迷いが生じていた。


「甘えればいいんだよ」


洋人君の言葉に顔を上げる。


そこには包み込むような笑顔を浮かべる洋人君がいて、一瞬洋介君の顔がダブって見えた。


「長く生きてきた分、自分にも厳しくなってるんだろうけれど、俺たちに甘えればいいから」


「洋人君……」


「千奈のことは俺が守る。だから、心に残る思い出を一緒につくろう」


あたしは覚悟を決めて、大きくうなづいたのだった。
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