【完】嘘から始まる初恋ウェディング

携帯の中に、白鳥さんの連絡先。 それだけで嬉しい気持ちになる。

携帯をぎゅっと握りしめて、頬が緩む。 その顔を見た白鳥さんは私のおでこを軽く小突いて、立ち上がる。

彼が立ち上がると、ジュリエットは嬉しそうに周りをくるくると走り回る。 椅子で横になっていたロミオも耳をぴくぴくと動かして反応する。

「じゃあ、俺出るから」

「はい…!お休みを存分に楽しんでらして…!」

玄関までお見送りに行くと、ジュリエットは嬉しそうに白鳥さんの後をついて
ロミオもぴょんっと椅子から飛び降りて、少し離れた場所からジーっと見守っていた。
家を出る時確認するように彼は問う。

「お前本当に今日は出掛けないんだよな?」

何度同じ事を訊くのかしら?

「ええ。土日は来週提出する企画書を念入りにチェックしますわ…。
色々と考えだすと、アイディアがいっぱい飛び出てきて面白いの。 …それにもしもこの企画が本決まりになって、自分の考えた商品が形になったらすっごく嬉しいから」

そう言うと、目を細めふわりと白鳥さんは笑った。 そして大きな手を私の頭におくと、「あんまり無理すんなよ」とだけ言った。

素っ気ない言い方かもしれないけれど、それだけであなたの優しさは伝わってしまうものよ。 その言葉だけでやる気がみなぎってしまう自分も自分で、単純な脳の構造をしていると思うけれど。

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