【完】嘘から始まる初恋ウェディング

「何やらルナと楽しそうで」

「ひッ!」

その声に後ろを振り向くと、恨めしそうな目をした桜栄社長が眉をぴくぴくと動かしながらこちらを睨みつける。

そして俺の耳元でぼそりと呟くよう低い声を上げた。

「分かってはいると思うが、ルナには婚約者がいる」

「重々承知しています」

「私はビジネスとして君を雇って、信頼している」

「勿論ですよ。 社長が思うような事は絶・対にないのでご安心を」

処女は勘弁だ。男慣れしていない純情そうな女も、この世で一番苦手だ。

しかしさっきのルナの様子…。思い出し、思わずぶるりと身震いがする。 自分に向けられる好意に気が付かない程鈍感な男ではない。

あれは…まさか恋する瞳…だとしたら。それは非常に困る!桜栄社長との契約上ルナを守っただけだし、金の為ならばいくらでも善人面は出来る。

依頼主の娘であり、身辺警護の対象者だ。 親切にはするし、守る。 面倒くさい事にならないように距離を保とう。そう決意したばかりだったのに…。

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