棘甘王子に現行犯逮捕されちゃいました ゾルック 三人目




 どう沈めていいかわからない、
 心臓の爆動。



 胸をさすって、さすって。


 ムダにたくさん、息を吐いて吐いて。


 大きく息を吸って……


 椅子に座ったまま、上を見上げた時。




「あのさぁ」



 私の顔の斜め上に

 不愛想に顔を歪める男子の顔が。




「うっ…ひゃ!」


「何、その反応」




 私を毛嫌いしていますって訴えている、
 重い声。


 メガネの奥の瞳をつり上げた、声の主は。



 まさかの……

 『元カレ』??




「いっ…(いさむ)君?
 い…い…いきなり、なに?」


 さっきまでの胸キュンが、瞬間冷凍。


 体中の神経が震えて。

 声帯も震えて。

 ブルブル、オロオロが止まらない。




 そりゃ、そうなるよ。


 だって、中3の卒業式に私をふって以来、

 勇君は私を完全無視。



 話しかけることも、
 挨拶されることも、なかったんだから。



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