俺が優しいと思うなよ?

「おはようございます」

月曜日の朝。
成海チームの揃ったメンバーの中で、私は先週と変わらない挨拶をした。メンバーからも変わらない「おはよう」が返ってくる。
ただ違うことは、私のデスクに今までになかった黒いパソコンが置かれていたことだった。
大きなモニターのデスクトップパソコン。
「……」
もしかして、自分の席が移動したのかと周りを見た。

「三波、それ、お前のパソコンな」

と、成海さんが受話器を耳に当てたまま、私へ顔を向けて話しかけてきた。
「パソコンの中身は俺と同じデータとソフトが入っている。チームや他部署との共有ファイルとかもあるから確認しておけ。あと、社内メールの回覧があるから毎日チェックすることを忘れるなよ。あ、もしもしお世話になります…」
と、マシンガントークの後に営業口調で電話を始めた。

私はパソコンを見つめた。
「ん?」
キーボードの端に貼られた付箋紙を見つける。

『わからないことは俺に聞け』

たったこの一言だけなのに、胸がトクッと鳴った。少しだけ右上がりの、綺麗な文字が並んでいる。間違いなく、成海さんだろう。
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