俺が優しいと思うなよ?


「三波!」

弾かれるように呼ばれて、体がびくりと震えた。同時にいつの間にか閉じていた目がパチリと開いて、頭の中に浮かんでいたものがパッと消えた。
「聞いているのか、三波?」
不機嫌な声が聞こえて、私は成海さんに向き直って「すみません」と頭を下げた。
成海さんは眉尻を上げて私を睨んだ。

「立って昼寝をする暇があるなら、どんな教会を建てたいかちゃんと考えろ」

どうやら目を閉じての妄想が、昼寝に見えたらしい。

資料によると、この教会の設計にあたりいくつかの条件がある。
しかし私がここに立っていた間、イメージできた教会は一つもなかった。それ以前にどんな教会が相応しいのか、どんなコンセプトにしたいのか、何も思い浮かばなかったのである。


「……」

結局、社長から成海さんに連絡が入り会社へ戻ることになった。帰社する車の中、私は脳内が真っ白なまま、黙り込んで座っているだけだった。


< 37 / 180 >

この作品をシェア

pagetop