俺が優しいと思うなよ?
「…さん。三波さん」
ポンッと肩を軽く叩かれて、やっと自分が呼ばれていることに気づく。
顔を上げると、仁科係長が苦笑いを浮かべていた。
「凄い集中力だね。何度か呼んだんだけど」
「す…すみません」
すっかり自分の世界に入っていたことに肩を竦めた。
仁科係長は私の横にある山となったゴミ箱を見下ろす。
「もしかして、苦戦してる?」
その一言で、私の現状の全てが見透かされている気がした。
「……」
プレゼンの即戦力として入社した手前、「図星です」と言えず俯く。
すると、「建物を想像するときって」と彼は話し出した。
「僕の場合、いろんなシチュエーションを考えるんだ。例えば、家族と住むならこんな家がいいとか。恋人と食事をするならこんなレストランがいいとか。三波さんはどう思う?」
「いろんなシチュエーション…」
私は柔らかな表情を浮かべる仁科係長を見上げる。
「僕の方法が三波さんに合っているかわからないけど、三波さんが教会でお祈りをしたい時、どんな教会だったら落ち着けるかなぁ?明るい感じ?暗い感じ?」
「私がお祈りしたい教会…」
「そう」
小さく頷く彼に、私は首を傾げた。