エリート御曹司の秘書兼、契約妻になりました

 これは、どう対応したらいいのだろう。謝られたからって許せるものでもないけれど、これ以上頭を下げてほしいわけでもない。

 かける言葉を探しあぐねていると、紫倉さんが見かねたように話しだす。

「観月さんは大和専属とはいえ、同じ秘書課の仲間です。にもかかわらずくだらない嫉妬心を抱くなど、愚劣極まりない話。上司の私の不徳の致すところです。私も彼女たちも、しかるべき処分を受ける覚悟はできていますので、後は大和と観月さんで判断してだけたらと」
「……なるほど。どうする? 叶未。ちなみに、我慢は禁止」

 大和さんはひとつため息をこぼし、ちらりと私を見る。私は怯えたように立つ先輩方を一人ひとり見つめ、考える。

 彼女たちには少なからず恐怖を与えられ、心が傷つけられた。画鋲の件に関しては、少しではあるけれど怪我もさせられた。

 だからといって、仕返しのように重い処分を下したいわけではない。それなら……先輩方のプライドを刺激する、こんな罰はどうだろう。

「明日から毎日、スニーカーで通勤していただく……というのは?」

 私の発言に、その場にいた全員がキョトンとした。その光景がおかしくて小さく笑いをこぼしつつ、私は補足をする。

< 140 / 151 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop