エリート御曹司の秘書兼、契約妻になりました
これは、どう対応したらいいのだろう。謝られたからって許せるものでもないけれど、これ以上頭を下げてほしいわけでもない。
かける言葉を探しあぐねていると、紫倉さんが見かねたように話しだす。
「観月さんは大和専属とはいえ、同じ秘書課の仲間です。にもかかわらずくだらない嫉妬心を抱くなど、愚劣極まりない話。上司の私の不徳の致すところです。私も彼女たちも、しかるべき処分を受ける覚悟はできていますので、後は大和と観月さんで判断してだけたらと」
「……なるほど。どうする? 叶未。ちなみに、我慢は禁止」
大和さんはひとつため息をこぼし、ちらりと私を見る。私は怯えたように立つ先輩方を一人ひとり見つめ、考える。
彼女たちには少なからず恐怖を与えられ、心が傷つけられた。画鋲の件に関しては、少しではあるけれど怪我もさせられた。
だからといって、仕返しのように重い処分を下したいわけではない。それなら……先輩方のプライドを刺激する、こんな罰はどうだろう。
「明日から毎日、スニーカーで通勤していただく……というのは?」
私の発言に、その場にいた全員がキョトンとした。その光景がおかしくて小さく笑いをこぼしつつ、私は補足をする。