エリート御曹司の秘書兼、契約妻になりました
病院から会社に戻る頃には、吐き気はおさまっていた。一連の体調不良の原因がわかって安心したせいかもしれない。
でも、大和さんに報告するのはやっぱり緊張する……。
社長室の前で一旦深呼吸をし、心の準備をしてからドアを開ける。
「ただいま戻りまし――」
「叶未! 大丈夫なのか!? 薬はもらったか!? なんの病気だった!?」
私の姿を見て弾かれたように椅子から立ち上がった大和さんが、矢継ぎ早に質問しながら詰め寄ってきて、私の肩を掴んだ。
心から私の身を案じていたとわかる、必死な瞳。それ見ていたら自然と、彼ならきっと喜んでくれると思えて、言葉はするすると勝手に口から出てきた。
「病気じゃありませんでした。……私のお腹、赤ちゃんがいるそうです」
「えっ?」
「大和さんと私の子です。見ますか? エコー写真。まだ豆粒みたいですが……」
話しながらバッグを探っていたら、大和さんがいきなりガバッと抱きついてきた。バランスを崩して倒れそうになった私を、強い腕がしっかりと抱き留める。
「こんなにうれしいものなんだな……、自分でも驚くくらい、感激してる」
「大和さん……」
そっと体を離して見上げた彼の瞳は、感極まったように赤く潤んでいた。
彼は軽く鼻を啜ると、なぜか身をひるがえして自分のデスクに戻り、どこかに電話し始める。
「航紀か? 俺だ。聞いてくれ、叶未が妊娠した」
「ちょ、ちょっと大和さん!」