カタブツ竜王の過保護な求婚
どうやらこの場でラベロは殺した方がいいと訴えている。あとあと面倒なことになるかも知れないからと。
「でも、そうすると、妃殿下が許してくださらないとおっしゃっているのよ? まさか、あなたたちはこの老いぼれ一人相手に恐れているのではないでしょう?」
レイナを嘲りながら、ねっとりとした口調で騎士たちを揶揄して、夫人はラベロも連れていくことを認めさせた。
場違いながらもレイナはほっと胸を撫で下ろす。
「ああ、もう。すっかり遅くなってしまったわ」
騎士たちに反論されたのが面白くなかったのか、夫人は急に苛立ちをあらわにした。それなのに、レイナへと向けた顔は不気味なほどに優しかった。
「わたくしどもと一緒に来ていただく前に、妃殿下には一つ、大切な用事を済ませていただかなければなりませんのよ」
「……大切な用事?」
ここにきて今さらいったい何の用事なのかと、レイナは眉を寄せた。
「ええ、さようでございます」
夫人は笑みを深めてうなずく。
「ユストリス王家の秘宝です。それをご一緒にお持ちしていただきます」
猫なで声で言う夫人の目は真剣だ。
何を馬鹿なことを、と笑いだしたかったが、レイナはぐっとこらえた。