カタブツ竜王の過保護な求婚

 通い慣れている小道でも、木々の中へと数歩踏み込めばすぐに迷ってしまうだろう。そうなれば偽騎士たちと同じ条件になる。声を出して助けを求めても、先に偽騎士たちに見つかってしまう。
 そして何より、人目を気にする必要がなくなったために、アンヌはしっかりと偽騎士に腕を取られている。

 幼い頃からずっとそばにいてくれた、姉のようなアンヌ。だから背中を向けていてもわかる。
 もし自分に何かあっても、かまわずに逃げるようにと無言でレイナに訴えていることを。
 それでも、レイナの性格を知り抜いているから、わざわざ自分を犠牲にすることは絶対にしないはずだ。精いっぱい最善を尽くしてくれるだろう。


(やっぱり、初めに決めた通りにしよう)


 レイナは固く手を握り締めて、恵みの園へと向かった。
 あそこには守護兵がいる。門扉だけではない、内側にも目立たないように何人もが巡回しているのだ。特に夜間は。

 当然、宝物庫に守護兵がいることは夫人たちもわかっているだろうから、あとは出方次第だった。土壁の中に入って、いったいどのように反応するのか。


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