カタブツ竜王の過保護な求婚

「――それにしても、あなたの大切な方は宝物ならたくさん持っているでしょう? なぜわざわざまた新しい宝石を欲しがるの?」

「まあ、おかしなことを。誰でも美しい物はたくさん欲しいでしょう? あの方はそうおっしゃっていたもの。しかも秘宝はとても大きな物だとか。心惹かれるのは仕方ありませんわ」

「……そうかしら?」

「ええ。なんでも、ユストリスの秘宝は、先祖代々受け継がれてきたものだと伺いましたわ。それを失くしてしまわれるなんて、きっとユストリス王家にとっては大変な屈辱でしょうねえ」

「……すっごく性格悪いのね」


 徐々に近付いて来た恵みの園を前にして、人が向かっていることを守護兵たちに知らせ、警戒させるために始めた会話だったが、むかむかするだけだった。


「よくもそんなことを。ユストリスのせいであの方が味わった屈辱に比べれば大したことございませんわ」

「……本当にそう思っているの?」

「当然です! そもそも偉大なるフロメシア王国が、ユストリスなどに後れを取るなど有り得ないのです。あの戦は何かの間違いですから、明日になればそれがわかりますとも。この城と街だけではありません、フロメシア王国のあちこちでレグル様に反旗を翻す狼煙が上がりますわ」


 得意げに語る夫人の言葉に、レイナははっと息をのんだ。
 どくどくと脈打つ音が頭の中で響く。がくがくと足が震える。
 それでも、ここでへこたれるわけにはいかないのだ。

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