シークレットベイビー② 弥勒と菜摘


やだ

なんか、たまらない。
我慢できない。
そんなの。

頭の中で、考えなければいいのに、自分の思考に襲われて、のまれるみたいに、弥勒のさっきの人の⋯⋯ 。

愛を交わすに至る関係も、そのことも、その後も、すべて、なんか許せない。

過去だと分かってても。
やっぱりモテモテだったんだ、弥勒さん、じゃ、いろんな、、、、


「でもな、菜摘に会って、菜摘だけなんだ
もう、過去も未来も、菜摘なんだ」


と少し慌てる声がする。


「過去も?⋯⋯ ⋯⋯ ⋯⋯ 」


と菜摘が低い声で言う。
うっ、過去は違うんでしょうが、と押し黙る。

弥勒を知ってる人がいるんだ、彼の優しさや激しさや彼の体温や。


「ごめん、なんかオレ⋯⋯ 余計な事、言ったみたいだ、」


と櫂の声。


「いや、オレも調子に乗った⋯⋯ 」


弥勒の声。


「「菜摘ごめん、本当ごめん、」」


と2人にかわるがわる謝られる⋯⋯ 。


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