シークレットベイビー② 弥勒と菜摘
✴︎



絵を描いて教室から出たら、十織くんと友達に出くわした。
とっさにギューって目を閉じた。

彼の空気の判断もできない。

怖くて見れない。
もともと無口なのに、もっと無口、メイワク、ブキミ、ヘン。

可哀想なものを見る色だったら、
ブキミで気持ち悪がってる色だったら、
わたしのこと、嫌がってたら、

こわい。

見れない。


はじめて泣いてた。

ごめんなさい、十織くんが好き。
ごめんなさい、弥勒と菜摘に。
だから苦しい。
しおしお泣いた。
とまらなくて。
ほんとに悲しかった、胸が潰れそうだった、もうなんか絶望だ。

わたしが泣いて、しかも弱々しく、べつに計算して泣いたわけじゃなくて、ほんとに悲しくて泣いていた。


「わたし、捨て犬、みたいかな⋯⋯ 」


って言ったら、十織くんの周りにいた友達があわてた。
自分たちが私の事噂してたから。
それをわたしが聞いたから。

今泣いてるから。


「聞いてたんだね。チラッと耳にしたことなんて、ホントじゃない、気をつけて」


って十織くんの声が聞こえた。

十織くん。

< 67 / 72 >

この作品をシェア

pagetop