アンチテーゼを振りかざせ





そしてそのまま、

「なんか久々に走って、疲労感凄いわ。」

「……おじさん。」

「まだ24歳ですけど。」


自然と出た私の感想に対する、抵抗の言葉。




コンビニと居酒屋でアルバイトを掛け持ちしている。

三白眼を愉快に細めて、すぐに揶揄ってくる変な男。




___24歳。

私と、同い年だった。


情報が1つ追加されたと心で反芻すると

「…タメ?」

まるで私の思考を読み取ったかのようにそう言う。



それでも特に何も反応を示さない私を見ても、ふ、と柔らかく表情を崩すだけで。

その笑顔があまりに優しげで、私は先程、椋と話をした時に感じたやけに温かい腕を思い出してしまう。




えらく勝手なことを沢山言われた気もするけど。


その拍子に、自分が欠いていたことに気づいて、ガードレールとは反対側の歩道の脇に設置されていた自販機へ近づく。

スマホで購入し、ガコンと勢いよく出てきたものを全く歩き出そうとはしない男へ差し出した。



「……何これ?」

「"助けてくれてありがとう"代。」


私が手渡したのは、男がコンビニで休憩している時によく飲んでいる炭酸飲料。

それをじ、と見つめた男は少し驚いたような顔をしていた。



この男が何者かは、分からない。

でもこの間も、今日も。
助けてくれたのは本当だから。



コンビニで絡んできては、たまに勝手に、缶ビールにサキイカの私的黄金コンビに

『"話し相手になってくれてありがとう"代だし。』

そう名付けたりするのを、真似して告げる。





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