アンチテーゼを振りかざせ
この人は、私にどこまで押し付ければ、気が済むのだろう。
そう思いながらも、まずは営業部の男性へ謝罪を発しようとした時。
「…でもこんな風に言わせていただいてるのは、さすがに他に理由あります。」
「……理由…?」
目の険を緩めない男性は、そのまま口を開く。
「__オフィス運営委員会って自己満足なんですか?」
冷たい声と視線で投げられた言葉は、私の動きをあっさりと止める。
「……え?」
ノートパソコンを片手に持った男性は、大きな溜息を吐いて、歪んだ顔のまま。私の躊躇いはお構いなしに言葉を繋いだ。
「この間発刊されてたリーフレット、拝見しましたけど。
オフィスのリニューアルを請け負ってる会社…、なんでしたっけ、確か○○さん?
わざわざコンペの時からの話を紹介して、持ち上げたりして。
向こうはお金貰ってんだから、やって当然でしょう?
社内でリニューアルに関して、こんな風に上手く連携取られて無いのに、他社との美談書く前に他にやることあるだろ。」
最後はもう、吐き捨てるような声色だった。
ランチから帰って来たばかりで「嗚呼、私まだお財布持ったままだったんだ」なんて、手にこもる力が強まってそこで初めて気がついた。
さっきからもうずっと痛いくらいの鼓動が響いて嫌な熱を帯びるくせに、頭は熱をどんどん失って、その不整合がより一層私を動けなくする。