アンチテーゼを振りかざせ






…どういうこと。

このメールが、険しい顔でこちらを見ているこの男性が発信したものだというのは直ぐに理解した。


宛先はその隣で青ざめて黙っている課長、ただ1人。


「こちらも、複数人へ向けてメール発信をしなかったことは謝ります。

でも、オフィス運営委員会は総務部主導のものでは無いんですか?
下山(しもやま)課長へご連絡すれば、それは直ぐ委員会にてご対応いただけると思っていたんですが。

ボールを投げてからこの1週間、何の音沙汰も無しです。」



"総務主導でやって欲しいって言われてる。リニューアルした後、オフィスを充分活用してもらえるような取り組みを考える委員会なんだけど、保城さんに、運営方針の企画とかお願いできるかな…?"


下山、と言うのはまさにうちの課長のことだし、オフィス運営委員会は確かに総務部主導だと言われている。


私も、引き受ける時は課長にそう説明された。



だけど。


「…い、委員会管轄の依頼だし、保城さんはもうとっくに把握している話だと思っていて……」


苦し紛れに、それでも言い訳のように告げる課長の言葉に、頭はやけに静かに熱を失っていく。


"もうとっくに把握している"


私がやれば良いから気に留める必要は無い、
手伝う気なんか始めから全く無い、

そういう課長の意図を、嫌でも感じ取ってしまった。


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