アンチテーゼを振りかざせ
"個人的な気持ち入りまくってますが、香月さん達にも勿論コンセプトの了承は得ていますので!!
仕事はしんどい時の方が圧倒的に多いですね。
でも、
「まあ出勤するかあ。オフィス綺麗になったし?」
そのくらいの軽さで、良いんです。
働く皆さんが日々を立ち向かう理由の1つになれるよう、最後までしっかり取り組ませていただきます。
引き続きどうぞよろしくお願いします。
枡川 ちひろ"
「…仕事のこと、ばっかり。」
なんなの、急に手紙なんて言うから何かあるのかと思った。
この人のこと、
嫌いにはやっぱりなれそうに無い。
視界が滲んでいく感覚の中で、私は瀬尾さんの言葉を思い出し、手紙を持ったまま会議室を出てフロアの奥の、ビニールへ覆われた空間に向かう。
本当に入っても良いものかと恐る恐る中を覗くと、ちょっと漫画喫茶のような個室の扉が4つ、並んでいた。
「……すごい。」
その1つのドアノブに手を回して中を確認すると勿論、そんなに広過ぎない空間ではあるけど。
優しいクリーム色の壁に小ぶりのグリーンカーテンや、お洒落なポストカードが貼り付けられていた。
テーブルもチェアも丸みのある可愛らしい家具で、
まるで誰かの秘密基地みたいだった。
再び鼻の奥がツンとする感覚があって、誤魔化すようにもう一度手紙を確認すると、便箋の裏にも文字を見つける。
"また飲みに行って欲しいです。"
「…字、ちっさ。」
ヘタレな彼女のそれを確認した瞬間、ポロッと涙が出たのに気がつく。