―17段目の恋― あのときの君とまさかの恋に落ちるとき
どうして交換条件が必要なのだと思ったが、もしかしたらこのスクールではレッスンに関するお知らせがラインで届くのかもしれない。
それともテニスの質問に答えてアドバイスをくれるとか。
もしそうなら、とてもありがたい。
透子は期待を込めてたずねた。

「どうしてですか?」
「連絡したいから」
「どんな要件で?」
「どんなって個人的なことだよ」
当たり前だろみたいな表情で、龍道コーチは額に落ちた髪を無造作にかきあげた。

「もしかしてSNSでテニスの相談に乗ってくれるとか」
今度はバカにしたような流し目を送ってきた。

「なんで俺がそんな面倒なことするんだよ。だいたい直に教えても上達しないやつがSNSなんかで教えてうまくなるわけないだろ」
「じゃあなんですか?」
「君と連絡を取りからに決まってるだろ」

だろ、だろ、決まっているだろって、なんでよ。
さっき黄色い硬いボールを投げつけてきた男が自分と個人的に連絡を取りたい理由ってなによ、と龍道コーチを下から睨んだところで、外から扉を開けようとする気配がした。
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