―17段目の恋― あのときの君とまさかの恋に落ちるとき
「えっ。みんな下手で練習にならないと思うよ。その中でも下手な私が言うのもなんだけど受講料もったいないよ」
「ちょうどいい時間帯で龍道コーチの中級クラスがなかったんだよ」
「じゃあせめて初中級にすればいいじゃない」
「初級も初中級も似たようなもんだよ。いいんだよ、別にコーチとラリーできれば。なんだよ、僕と一緒じゃいやなわけ?」

なぜかチョイギレしている。

「いや、そういうわけじゃない。いてくれたら心強いけど」

けどそんなにうまいのに、なんで初級クラスなんて受けるのよ、どういうこと? と、もっと突っ込みたかったけど、本当にキレられそうなのでやめておく。

「でしょ」

田淵は途端に唇を緩め、「じゃ、行こう」と、透子の腕を引っ張っていった。
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