―17段目の恋― あのときの君とまさかの恋に落ちるとき
「ううん、いらない、ていうか、どうしてここにいるの? どうやって侵入したの?」
「昨晩と同じこと聞くな。てか、侵入ってなんだよ。昨日、俺がきみをここまで送ってきたのは覚えてる?」

透子の目が泳ぐ。

「えーっと」
「ないんだな」
「ない」

素直に認めることにする。

「ホテルからタクシーで送ってきて、家の前に着いても起きないから俺がここまで連れてきてやったんだ。ちなみにタクシー代も俺が払った」
「あ、ごめん。でまさか、それからずっとここに?」
「そんなわけないだろ」

そういえば龍道コーチの服装がTシャツとラフなパンツ姿に変わっている。
ということは、今朝またきたことになる。

「じゃあどうしてここにいるの?」

質問が元に戻った。

「爆睡した女をおいて鍵をかけずに出ていくわけにいかないからな。鍵をかけて出て、郵便受けに入れておこうかとも考えたけど、万が一なくなって俺のせいにされてもいやだし。だからいったん持って帰って返しに来た」

わりと用心深いたちらしい。
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