―17段目の恋― あのときの君とまさかの恋に落ちるとき
1カ月間の彼女
翌朝、目を覚ますと9時を過ぎていた。
ワンピースのまま寝てしまったことに気づき、透子は慌ててベッドから起き上がる。
酷い二日酔いと言うほどではないが、頭が重い。
ひとり先にパーティ会場を出て帰ろうとしたが雨が大降りで、どうしようかと思案したところで龍道コーチが現れたところまでは覚えている。
ぼーっとしながら頭を起こす。

とりあえずシャワーを浴びて目を覚まそう。
透子はバスルームに向かった。

「やっと起きたか」
「ぎゃっ!」

シャワーを浴びることなく一気に目が覚めた。

「その驚き方はなんだ」

龍道コーチがソファに座っていた。
どうして自分の家に道コーチがいるのだ。
それもこんな朝に。
まさか、と自分の体を見下ろすが服を脱いだ形跡はないし、龍道コーチも違う服装なので、2人で一夜を過ごしたわけではないらしい。

でもじゃあどうやって部屋に入ったのだ。
急激に動き出した脳細胞が混乱している。

驚いて言葉も出ない透子に龍道コーチが飲みかけのアイスコーヒーを差し出してくる。

「飲む?」

空の容器が1つある。
透子の分も買ってきてはくれたがなかなか起きてこないので飲んでしまったのだろうと、そんなことくらいは推測できた。
< 69 / 130 >

この作品をシェア

pagetop