自信のない恋に優しい愛

 ドライヤーを『弱』にしてなるべく音をたてないようにしていたつもりだったけど、やっぱり起こしてしまったようだ。
 圭介はベッドから起き出して深夜番組を見ていた。

「ごめんね、起こしちゃった」

「いや、俺の方こそ悪い」

 彼はそう言うとテレビを消して、あの時と同じような真剣な顔で私を見た。

「なあ、仕事つらかったら辞めてもいいと思うよ。正直なところ俺だってアメリカから戻ってきたときにはあの古臭い体質にはすげえ驚いた。あんなおっさんばっかの庶務課で穂乃香はすげえ頑張ってると思う。だからもうこれ以上無理だと思ったら……」

「――ありがとう。でももう少しだけ頑張ってみる」

 私は彼の優しい言葉に含まれるものに気付かないふりをして答えた。
 本当は彼に甘えてしまいたい。
 だけど、それじゃあ自分に自信がないまま、自分を好きになれないまま彼に逃げてしまうことになるから。
 こんな私を好きだと言ってくれる彼の為にももう少しだけ頑張りたい。

 圭介は少し困ったような顔をしたけれど、それ以上は何も言わずにクシャっと私の頭を撫でてから私を引き寄せてキスをした。
 そして……あれ? あれれ?
 翌朝、私は再びシャワーを浴びてから出勤した。


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