自信のない恋に優しい愛
横で眠る彼を起こさないように、そっとベッドから抜け出してシャワーを浴びる。
どうも彼に押されると弱い。
付き合うことになったのも彼に押し切られた感じの始まりだった。
ちょうど昨年の今頃、残業で遅くなったある金曜日に、同じように残業で遅くなったらしい彼から食事に誘われたのだ。
その後、遅くなったから家まで送る、コーヒーが飲みたい、終電を過ぎたから泊めてと言われて……もちろん、彼のことを好きじゃなかったら食事に誘われた時点で断っているけれど。
ずっと私の片思いだと思っていたから、朝になって改めて「付き合って欲しい」と言われた時には驚いた。
「好きだ、愛してる」なんて英語混じりに囁かれた愛の言葉もその場限りだと思ったから。
だって、彼ほどの人がまさか私なんかを好きだなんて……。
「若宮さんは俺の事、好き? 嫌い? どっち?」
ためらう私に二択で答えを迫る彼の顔はとても真剣で、そんな彼に気持ちを誤魔化すことなんてできなかった。
「――好きです」
彼は正直に答えた私を抱き寄せてキスをすると、「じゃあ、決まり」と嬉しそうに笑って、それから……あれ? あれれ?
と、まあ今に至るわけで。