自信のない恋に優しい愛

「ただいま~。って来てたんだ」

「おう、おかえり。メシまだだろ? 今作ってっから、手洗ってこいよ」

「ん、ありがとう」

 一人暮らしの部屋にサービス残業で疲れて帰ったとき、こうして彼に迎えてもらえるのは非常に有難い。本当に癒される。

 ハッキリ言って今の仕事はつらい。
 何のキャリアにもならないような誰にでもできる仕事を毎日人の倍近くこなしながら(それは理奈のせいでもあるけど)、上司からセクハラなんだかパワハラなんだか色々と受けている。
 辞めてしまえば簡単なのかも知れないけれど、大企業と言われる今の会社を辞めて故郷に帰れば親からの非難も免れないだろうし、だからといってこのまま一人暮らしを続けるにはかなり厳しくなると思う。
 もちろん彼ならいくらでも甘えさせてくれそうだけど、けじめだけはきちんとつけたいから。

 大きく溜息をついて、手洗い・うがいを済ませると、部屋着に着替えてダイニングキッチンへと戻る。

「手伝う?」

「いや、もうできたから。ああ、箸出して」

「はーい」

 お味噌汁を椀によそう彼に返事してお箸を食卓に並べる。
 一人暮らし用の小さなダイニングテーブルにはドーンと豪快な野菜炒めが真ん中に置かれ、恐らくお総菜コーナーで買って来ただろうブリの照り焼きとご飯が用意されていた。
 二人とも晩酌をしないので冷蔵庫から麦茶を出してグラスに注ぐと、ちょうど彼がお味噌汁をテーブルに置いたところで椅子に座る。
 向かいに腰を下ろしてから、二人同時に「いただきます」と挨拶をして食べ始めた。

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