自信のない恋に優しい愛

「今日は珍しく社食でお昼だったんだね?」

 ご飯を食べながら、何気ない会話が始まる。

「ああ、今日は運よく外に出る用事がなかったから。うちの社食って値段の割に旨いだろ? 本当は毎日うどん定食でもいいよ、俺は」

「そう言えば、圭介ってお昼は麺類って決めてるって本当?」

 理奈との会話を思い出して笑いながら問いかけたら、彼―― 圭介は少し驚いたような顔をした。
 実は女子社員憧れの的である超優良物件の崎山圭介が私の彼なのだ。
 が、恐ろしくて誰にも言えないでいる。
 もちろん社内恋愛禁止などでは全くないけれど、もし彼と付き合っている事がばれたら……うん、わかるよね? 怖いよね? 出社拒否しちゃうよね?

「よく知ってるなぁ? 俺の密かなこだわりなのに」

「……社内の女子社員はほぼ全員知っていると思う」

「なんでだよ?」

 「有り得ないだろ」と笑う彼は女子社員から自分がどう思われているか、どうも自覚がない。
 付き合い出した事も内緒にして欲しいと、当初は必死でお願いしたものだ。
 彼はお父さんの仕事の都合で欧米諸国で育ったために愛情表現がオープンというか、激しいというか……とにかく私には恥ずかしいくらいなんだけど、なんとかそれは二人きりの時だけにしてもらえている。
 だから社内で会っても他人行儀にやり過ごす。
 結果、彼には今現在彼女がいないらしいと女子社員達は結論に達したらしい。

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