訳あり無表情少女と一途な幼馴染 〜裏の仕事〜
俺は書類に目を通しながら

「話って何だ?」
「…前に話してたヤツ」

蓮と目を合わせる

「明日からやりたい」
「…」

やるんだったら栞に付かせる
前にそう俺から言ったが…

「…、分かった。明日から酒向に付いて「あ?話が違ぇ」」
「やるんだったら栞に付くんだろ。何で酒向に変わってんだよ」
「状況が変わった
 栞は今、単独で仕事してる。栞だけって条件付きでだ
 そんなとこに実践経験も無い仮組員を付けれねぇだろ」
「…」
「分かったか」
「依頼人が、俺がいてもいいっつったら、いいか?」
「…」

コイツ、何が何でも栞に付いていこうとしてんな
…まあ、依頼人もそんな堅い奴じゃない
いや、寧ろ面白がるかもしれねぇな…

「…はぁ、分かった。相手には俺から説明しとくが、ちゃんとしろよ」
「おう」
「それと…」

これだけは言っとかねぇと

「例え仮でも、お前は桜井組の組員になるんだ
 仕事先でどんなに不快に思う事でも、絶対に手を出すな」
「…」
「いいな?これを守らねぇと栞には付かせねぇ
 お前が下手に動けば、仕事に支障をきたすかもしれねぇんだ」
「…分かった」
「もう遅い、さっさと寝ろ」

蓮が部屋に戻ってくのを見て、盛大に溜息を吐く

「最悪のタイミングだな…」

何があったか知らねぇが、あの怒りと嫉妬しかない目と態度
アイツが仕事内容を知った時、どうなるか

「栞、すまん」


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