訳あり無表情少女と一途な幼馴染 〜裏の仕事〜

「そういえば、クライアントの前では言葉遣いを気を付けてほしいが
 俺等だけの時は崩していいよ」
「いや、仮にも組員として仕事に来てますから…」
「依頼人が頼んでもか?」
「…」

栞を見ると、苦笑して

「依頼人の要望なら、断れない」

ケイさんに向き直すとニコッと笑顔だ

「…、じゃあ、そうさせてもらう」
「うん、その方が良いね!
 で、内容はどこまでかは聞いてるのか?」
「いや、何も…」
「ん〜、そうだね。簡単に言えば護衛
 でもシオリには時と場合によって、立場を変えもらう」
「? 立場?」
「時には妹、そして時には…、恋人に」
「!?」
「俺は色んな場所に出掛ける予定があるんだ。
 兄妹で社長と秘書ってのもおかしくないし、時には女避けになるしな」

バッと栞を見るが、栞はソファに凭れ目を瞑ってる

「…」

兄貴や栞が、手を出すなときつく言ってた意味が分かった
俺も、今は桜井組の一員としてここに居る

「…分かった」
「ちなみに、シオリの偽名はシズクだけど、レンにもあるだろ?」
「俺は、零(レイ)」

ケイさんは手を出し

「これからヨロシクね、レイ。俺も桜井組なんだし、ケイでいいよ」
「おう」

ケイと手を繋いだ瞬間、グッ!と引っ張られる
耳元で

「お前、シオリの彼氏なんだろ?くれぐれも感情的になるなよ?」
「!」

ケイは俺と目を合わせ、ニヤッと口角を上げる

「いやぁ、これからが楽しみだなぁ」

こうして、俺の仮組員期間が始まった
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