訳あり無表情少女と一途な幼馴染 〜裏の仕事〜
武器を

「栞の力を使って、運びこもうとした…?」
「正解」

ちょっと待て
って事は

「栞の力を知ってる奴がいるって事か…!?」

いや、実際にいる
さっきまで対峙してたアイツがそうだ
でも何で…

「何で、栞の力を知ってんだ」
「ん〜、それは少し違うな。まあさっきの言い方が悪かったな
 厳密に言うと、鷹の能力を知ってるんじゃなく
 俺が、密かに…確実に、武器を運びこめるルートを持ってるって噂があるんだ
 だから桜井組の鷹を知ってる連中はごまんといるが、あくまで存在を知ってるだけだ
 …で、本題に戻るぞ
 あのクライアントは、俺の近しい者と婚姻関係を結び
 そのルートを手に入れようと考え、かつ俺を潰し会社を乗っ取ろうとした
 だからシオリにあんな質問をしたんだ
 で、阻止する為に急遽婚約者に変えた」
「…」
「これで、お前の疑問と不安は消えたか?」
「…ああ」

俺は立ち上がり、ケイに頭を下げた

「思慮不足で、すみませんでした」

依頼人なのに、掴み掛かっちまった

「謝る事はないよ
 誰だって恋人が他人の婚約者だなんて、しかも目の前で言われたら、ねぇ?」

ケイは栞に視線を向ける
同じ様に栞に視線を向けると
栞は俺とケイを見るも、何も言わなかった
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