【完結】君の全てを奪いたい〜俺の愛で埋め尽くす〜



「はい。……だけど彼は、突然いなくなったんです」

「え?……いなく、なった?」

 わたしがそう話すと、五月女社長は不思議そうにわたしを見ていた。

「……はい。何も言わずに、突然失踪しました。3年前に」

「っ! 失踪……?」

 五月女社長は、驚いたような表情ををしていた。 

「……はい。それ以来、彼がどこにいるのか分かりません。連絡も一切ありません。生きてるのかも分かりません。……今どこで何をしているのかも、知りません」

 今ここにいる五月女社長に、こんな話をして良かったのだろうか……。

 わたしには分からないけど、それでも五月女社長は、何も言わずに話を聞いていた。

「……彼がいなくなった理由に、心当たりは?」
 
「いえ……突然でしたので」

「そっか……。この3年、辛い想い、したんだね」

 五月女社長は優しくも切なそうにそう話した。

「……もちろん、わたしは今でも、彼が生きていると信じています。 どこかで必ず生きていると、そう信じています」

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