【完結】君の全てを奪いたい〜俺の愛で埋め尽くす〜



◇ ◇ ◇



「お、終わった……!」

 コピーを取ってまとめてホッキキスで止めて、ようやく終わった。 ふと時間が気になり時計を見ると、時刻はすでに21時30分を回っていた。

「え、もうこんな時間……」

 誰もいない社内を見回すと、ちらっと人影が見えた。

「……え」

 誰かいるの……? でも、この時間なら警備員さんかな……?なんて思いながらも、パソコンの電源を切って帰る支度をした。

 その時だった。

「奈都」

 わたしを呼ぶ声が聞こえた。

「え? さ、五月女社長……!?」

 なんで五月女社長がここに? もうとっくに帰ったんじゃなかったの……?

「これ、差し入れ」

「え?……あ、ありがとうございます」

 五月女社長は差し入れと言って、コンビニの袋を渡してくれた。その中には、コンビニで買ったであろうおにぎりやお茶、プリンなどが入っていた。

「残業お疲れ様、じゃあ。明日もよろしく」

 五月女社長は、そのままそれだけ言って社内から出ていこうとした。
< 71 / 166 >

この作品をシェア

pagetop