【完結】君の全てを奪いたい〜俺の愛で埋め尽くす〜


 奏人でもなく、咲哉さん。出会ったあの日からわたしは、知らぬ間にきっと彼を想っていた。こうしてまた再会できたのは、奇跡かもしれない。本当にそう思った。
 
 彼が奏人ではないと分かっていながらも、わたし彼を奏人とだと信じて、その手を伸ばそうとした。……彼はそんなわたしに、俺を利用してもいい。俺を奏人だと思ってくれてもいい。そう言って笑ってくれた。

 あの日からわたしは、彼を言われた通りに利用した。初めて彼のその体に抱かれた時も、わたしは彼を奏人とだって思って抱かれた。……だからこそ、彼を奏人と呼んでしまった。

 申し訳ないことをしたと思った。 彼は奏人ではないのに、わたしは彼のことを奏人と呼んでしまった。……しかも最中に。

 だからこそわたしは、彼をとことん愛していきたいと思った。……奏人のことを忘れることはすぐには難しいかもしれないけど、それでもわたしは、咲哉さんのことを心から愛したいと思った。死ぬまでこの先、共に過ごしていきたいと。
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