エリートな彼の好きな女 ~ウブな秘書は恋愛をしたくないのです~
社長の買い物が終わるまで私もコンビニを適当に回ることにした。
するとそこへ、意外な人物に声をかけられた。

「相良」

私をそう呼ぶのは周りに一人しかいない。

「岩倉くん! こんなところで会うなんて」

彼と会うのはイタリアンランチ以来だ。
それにしても、この前岩倉くんと再会した所とは随分離れているのに。
ものすごい偶然だ。

「今、そこの会社で仕事してきた帰り。 外出たら相良が見えて、つい声掛けちゃったよ」

「そうなんだね。 お疲れ様」

「相良は……なに、サボり?」

からかうように言われ、少しムキになって答える。

「違うから! 今ちょっと休憩中なの」

「はは。 なんだ。 サボりならご一緒しようかと思ったのに」

「もー、何言ってるの」

岩倉くんの砕けたペースに乗っていると、不意に後ろから声がした。

「陽葵」

そう呼ばれてぎょっとする。
なんで!? 今仕事中なんですけど!

「社長!」

名前呼びの牽制のつもりで敢えて強調する。
岩倉くんに変に思われちゃうじゃない。

「こんにちは。 陽葵に何か用ですか?」

とてつもなく冷たい声音にどきりとする。
怖い、怖いです社長!! 何怒ってるんですか!?

「い、今ここで偶然会ったんです。 ね、ね、岩倉くん!」

なんとか社長の温度を上げようとわざと明るい声を出すも、社長の態度と表情はどんどん冷ややかになっていく。
もー! なんなの一体、この空気!
岩倉くんも黙ってないで話合わせてよ〜!
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