騎士(ナイト)に チェックメイト


何も声をかけることが出来ずにいた樹にお母さんが


「さくら、樹くんよ。そして樹くんのお父様。さくらを助けてくれたの。お母さん、樹くんたちがいなかったら貴女を見つける事はもっと先になっていたと思う。」


そう伝えてからこちらに振り向き


「本当にどうもありがとうございました。」


涙を流しながら深く頭を下げた。


「さくらも感謝しています。ねっ?さくら?」


さくらを見ると


ガタガタガタガタ



またしても尋常じゃない震え。
焦点の合わない目。




「さ、さくらっ?大丈夫よ!さくらっ」



近くを通った看護師が気付き駆けつけてくれ


「すみませんが、男の人は一度外へ出ていて下さい」


男性恐怖症。

さくらの身体の変化を見て医師ではないのに皆んながそう思った。



樹とお父さんは重い足取りで廊下へと向かった。
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