秘密で子育てしていたら、エリート外科医が極上パパになりました
第四章

産み育てた理由

涼晴に晴馬の具合を診てもらった翌日、小児科へ行って風邪のお薬と貼付薬をもらった。

熱は二、三日で下がったものの、咳がなかなか収まらず、結局丸一週間保育園をお休みすることになってしまった。

当然、仕事もお休み。申し訳ない気持ちで会社に連絡するも、快く休ませてくれて、本当に頭が上がらない。

電話を受けた社長の奥さまが「子どもってそんなものよ。特に男の子は、最初の頃は体が弱くて」とご自身の経験を語ってくれた。



一週間経った日曜日の夜。

真夜中にコフコフという咳込む音がして目が覚めた。

晴馬を覗き込むと、ぬいぐるみのウサギを抱きしめながら苦しそうな表情をしている。先週よりもくっきりとした喘鳴音、か細い笛を鳴らすようなヒューヒューという音が胸のあたりから響いてきた。

泣こうとして、大きく息を吸い込むほどに音がひどくなる。慌てて抱きかかえてなだめると、その背中は冷え切っていた。

熱を計ってみるも、平熱だ。むしろ低いくらい。風邪は治ったはずなのに、どうしてこんなに苦しそうなの?
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