秘密で子育てしていたら、エリート外科医が極上パパになりました
『もしも唇や指の先が蒼くなったら、俺を待たずに救急車を呼んで』

「わ、わかりました!」

いつもの穏やかな口調とは違い、涼晴の声は鋭かった。

これは救急車を呼んでもおかしくない事態なのだと認識し、不安からきゅっと晴馬を抱きしめる。

とにかく落ち着かないと。もしかしたら、すぐに救急外来へ行けと指示を受けるかもしれないから、家を出る準備をしておいたほうがいい。

兄に晴馬を抱いていてもらい、私は急いでデニムとニットに着替えた。着替えやおむつ、タオルなどのお出掛けセット一式をバッグに詰め込んで、サイドポケットに保険証と母子手帳を入れる。

用意が済み兄から晴馬を預かった瞬間、ドアフォンが鳴る。兄が玄関まで迎えに行き、シャツとスラックス姿の涼晴を連れてきた。

「涼晴……さん。わざわざすみません」

「大丈夫だ。明るいところで晴馬くんを診せてくれる?」

就寝用に明るさを控えめにしていたリビングのシーリングライトを全灯し、私たちは晴馬の顔色を覗き込んだ。

血色から一刻を争う事態ではないと判断したのか、涼晴は「とりあえず診よう」と言って、手に持っていたバッグから聴診器を取り出す。

背中と胸の音を聞き、難しい顔をした。
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