秘密で子育てしていたら、エリート外科医が極上パパになりました
「風邪はもう治ったと言っていたね」

「はい。熱自体は週中には収まって、咳も少しずつ減ってきてはいたんですが」

「風邪をきっかけに喘息を発症したのかもしれない。なにか薬はもらっている?」

「ええと……背中に貼るテープはもう使い切っちゃって。咳止めじゃダメですか?」

涼晴は首を横に振る。「気管支を拡張させる効果がないと」と険しい顔をした。

「この呼吸音で、まして薬もない状況で、喘息が自然に治まるのを待つのは危険だ。救急外来に行こう。いいね?」

私は唇を引き結んで、こっくりと頷く。涼晴はすぐさま自身の勤めている須皇総合病院に電話をかけてくれた。

「整形の眞木だ。知人の子が喘息の発作を起こしている。対応してもらえるか? ……ああ。五分で向かう」

彼が電話をしてくれている間に、私はバッグを担ぎ、毛布ごと晴馬を抱いた。いつでも出かけられる。

涼晴の目配せに答えて小さく頷くと、私たちはリビング抜け玄関へ向かった。

「俺も行く」

いつの間にか兄は着替えていて出かける準備万端だ。しかし、明日も朝早くから仕事のある兄を連れていくのは気が引ける。
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