秘密で子育てしていたら、エリート外科医が極上パパになりました
自らを追い詰めるように考えを巡らせていると、涼晴の大きな手のひらが私の頭を盛大に撫でた。

「晴馬くんが誰の子どもかは、教えてくれなくていい。でも、君が大事に思っているなら、俺にとっても大事だよ」

ズキンと胸が痛くなる。

それってただの親切心?

誰にでも優しくて、誠実で、頼もしい。彼のそんなところが誇らしくもあり、付き合う前はもどかしくもあったっけ。

でも、浮気相手の子を身ごもった女にまで優しくするなんて、ちょっとお人好しが過ぎるんじゃない?

それとも。

もしかして、とっくに気づいている? 晴馬が自分の子どもだって。それでいて、知らない振りをしてくれているの?

じっと涼晴を見つめると、私の視線に答えて彼はにっこりと微笑んだ。

「不安なときは電話してくれ。すぐに駆けつけるから」

「そんな……厚かましいこと……」

「なら、二年間も君を待たせたことへの謝罪だと思ってくれ」

「別に、待ってなんて……」

否定しかけて、最後まで言葉が出なかった。

待ってなんていない。とっくにあきらめていた。彼は別の世界で生きていく人間なのだと。
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